補助金目白押し、どの補助金がいいですか?

最近は「事業再構築補助金」が話題になり、多くの事業者様が補助金の活用に興味を持たれるようになられたようです。

「新規事業にお金出してもらえるんでしょ?」と前のめりでご相談を頂く事がありますが、少し落ち着いて他の補助金や自社の状況を考えてみましょう。

 

1、補助金活用を間違わないために

基本的な部分からお話をします。

このブログでは何度もお話していますが、「補助金がもらえるから何か必要な経費がないか」と考えるのではなく、「既に検討している事業があり必要経費も明らかなところに補助金が活用できた」と、事業計画が先に検討されていることが大事です。

多くの事業者様のお話によると、補助金が出るからと必要ないものまで買ってしまった、補助金を使うと言ったらメーカーの方からフルオプションの設備しか間に合わないと言われた、補助金の事務手続きが煩雑すぎて支援して頂いた補助金に見合わなかった、申請書執筆の手数料を払ったら支援された補助金額が50%を切ってしまった、などなど想定していない補助金を使う際の問題も多発しているようです。

こんなケースに巻き込まれないようにするには、一旦立ち止まって自社が進むべき方向と事業計画を立てられる事です。

 

【補助金活用チェックリスト】最低でも下記の項目は全て「〇」になるといいですね。

  • 御社では自費で新たな投資(建物、設備、広告宣伝費など)を行ってでも育てたい事業がありますか?
  • 補助金活用の話を聞く前から準備されている事業ですか?
  • 必要性低減の経費を補助対象経費として検討されていますか?
  • 総額いくらが補助金として補助されるのか把握されていますか?
  • 専門家に執筆を依頼する場合、実質補助金が充てられる金額を把握されていますか?

上記のすべての項目が「〇」にならなかった方は、これからでも遅くはありませんので、他人任せにせずにご自身で事業を検討し、補助金でいくらが支援してもらえるのかご検討ください。

 

2、活用しやすい補助金はどんなものがある?

 昨年から補助金バブルと言われているほど、多くの補助金が投入されています。

 ご相談を頂く際には「事業再構築補助金を申請したい」とお聞きしていたのに、お話をお伺いすると「ものづくり補助金」の方が適していたとか、活動実績のない会社で「事業再構築補助金」を活用したいという話だったとか、「ものづくり補助金って設備のお金がでるんでしょ?」と相談にみえたものの、経費が少なくものづくり補助金の事務処理に見合わない案件だったとか、数十万円の設備導入を検討されて「ものづくり補助金」を申請しようとされていたけど申請要件は100万円以上になっていた、など事業者さまがご存じの補助金がそのまま活用できるケースはそれほど多くはありません。

 補助金はそれぞれに「補助対象事業」という「目的の事業」がありますので、補助対象事業がご自身の会社が検討している事業に合致しているか十分に確認を行う必要がありますし、それぞれの補助金の審査項目を見るとなんとなくレベル感のようなものが把握できるかと思います。

 

下記には、現在公募が予定されている4種の補助金について簡単に記載させていただきます。

1)事業再構築補助金

 「1、事業の目的」には「新型コロナウィルスの感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上の回復が期待し難い中、ウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援します。」と書かれています。

かなり範囲が広いようですが、どのような事業が適してるのかはよくわかりませんね。

では公募要領のP27~P28の「審査項目・加点項目」を見てみましょう。一部抜粋します。

事業再構築補助金の公募要領P27より抜粋

上記の「(3)再構築点」の項目は全体の「審査項目・加点項目」の一部ですが、ここに記載された審査項目が「再構築」の評価点となります。

 

また、「事業再構築指針の手引き」には、「事業再構築の定義」として5種の定義が記載されており、下記のように必要となる要件が記載されており、「参照ページ」にはより具体的な要件が記載されています。

事業再構築の手引きより引用

これらすべてを満たす、または少し頑張れば満たせる事業計画があれば、事業再構築補助金を活用できる事業者さまといえるでしょう。

必要な経費として計上できるのは「7、補助対象経費」を見てみますと、「建物費、機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費、海外旅費」とあります。

「建物費」が含まれているのが特徴的で、今までの一般的な補助金には「建物(不動産)」は対象外となっていましたが、この補助金では対象経費に含むことができるので、補助金額も高額な補助金となっています。

2)ものづくり補助金

 同じようにものづくり補助金についても見てみましょう。
 本年度の正式名称は「令和元年度補正・令和二年度補正 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」と言います。毎年微妙に名称が変更になっています。

 「1、事業の目的」には「中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行い生産性を向上させるための設備投資等を支援する。」と書かれています。

この「ものづくり補助金」は「試作品開発・生産プロセス改善」もしくは「サービス開発・新提供方式導入」の2種から実施する事業を選ぶ必要があります。

「試作品開発・生産プロセス改善」は「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」に沿った事業計画である必要があり、「サービス開発・新提供方式導入」は「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」に沿った事業計画である必要があります。

事業計画の中でそれぞれの指針やガイドラインとの関連性を説明する必要があります。

 

では公募要領のP19~P20の「審査項目・加点項目」を見てみましょう。一部抜粋します。

公募要領より一部抜粋

記載のように指針やガイドラインとの関連性を記載するように求められています。

一方「7、補助対象経費」は「機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費、海外旅費、広告宣伝・販売促進費」とあります。

事業再構築補助金にはあった「建物費、研修費」はありませんが、「原材料費」が追加されています。事業再構築補助金の公募要領はものづくり補助金の公募要領によく似ていますので、参考にされたのではないかと思います。

3)小規模事業者持続化補助金(一般型)

 次は小規模事業者持続化補助金<一般型>について見てみましょう。
 通称「持続化補助金」と呼ばれていますが、こちらは「一般型」と「低感染リスク型ビジネス枠」と2種にわかれていますので、ご注意ください。

似てはいますが、目的と対象事業はまったく異なります。

 「1、事業の目的」には「小規模事業者 および一定要件を満たす特定非営利活動法人(以下「小規模事業者等」とい
う。) が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、小規模事業者 等 が取り組む販路開拓 等 の取組 の 経費の一部を補助することにより、地域の雇用や産業を支える小規模事業者 等 の生産性向上と持続的発展を図ることを目的とします。
本 補助金 事業は、持続的な経営に向けた経営計画に基づく、小規模事業者 等 の地道な販路開拓 等 の取組 (例 新たな市場への参入に向けた 売り方の 工夫 や 新たな顧客層の獲得に向けた 商品 の改良・開発 等) や、 地道な 販路開拓 等 と 併せて 行う業務効率化の取組 を支援するため、それに要する経費の一部を補助するものです。」と書かれています。

これまでご説明した「事業再構築補助金」「ものづくり補助金」とは異なり対象となる事業が明確に説明されています。

 

この「小規模事業者持続化補助金」は、2014年に初めて登場しました。

名前にもあるように「小規模事業者」を対象としており、これまでの補助金では補助対象外経費とされてきた「販路開拓」を中心に支援する補助金です。

また、この補助金は小規模事業者が不得意としてきた「事業計画」について、この補助金の申請書を作成する中で考えるきっかけ作りも目的としています。

応募書類には記載してほしい項目を分けて記載項目を設けられていますので、補助金の申請に不慣れな事業者様でも書きやすく作られていると思います。

 

では公募要領のP55の「表1:審査の観点」を見てみましょう。一部抜粋します。

①は自社の分析、②は自社の事業計画部分となっており、③が補助事業の内容になります。

「4、補助対象経費」は「①機械装置等費、②広報費、③展示会等出展費、④旅費、⑤開発費、⑥資料購入費、⑦雑役務費、⑧借料、⑨専門家謝金、⑩専門家旅費、⑪設備処分費、⑫委託費、⑬外注費」とあります。

 

販路開拓が主目的の補助金ですので、①機械装置費などは販路開拓に繋がる必要があります。

 

4)小規模事業者持続化補助金(低感染リスク型ビジネス枠)

 こちらは「小規模事業者持続化補助金」でも「低感染リスク型ビジネス枠」という類型で、前述の「3)小規模事業者持続化補助金<一般型>」とは異なるものですので、まったく別物の補助金と考えてください。

 

 「1、事業の目的」には「本補助金事業は、新型コロナウイルス感染症 感染防止と事業継続を両立させるための対人接触機会の減少に資する 前向きな投資を行い、ポストコロナを踏まえた新たなビジネスやサービス、生産プロセスの導入等の取組を 支援するため、それに要する経費の一部を補助 するものです。」と書かれています。

前述の「3)小規模事業者持続化補助金<一般型>」と違う説明になっていますね。

「対人接触機会を減らす、新たなビジネスやサービス、生産プロセスの導入等の取組」である必要があります。

  

では公募要領のP18の「7.申請内容の審査」、「(3)審査の観点」を見てみましょう。一部抜粋します。

ウ)、エ)、補助事業計画、オ)は自社の事業計画部分となっています。

「5、補助対象経費」は「①機械装置等費、②広報費、③展示会等出展費、④開発費、⑤資料購入費、⑥雑役務費、⑦借料、⑧専門家謝金、⑨設備処分費、⑩委託費、⑪外注費、⑫感染防止対策費」とあります。

 

4、今後のスケジュール

 各補助金によって、今後のスケジュールが異なります。

「事業再構築補助金」は7月上旬に第2回の締切と発表されていますが、その後の予定は公表されていません。

下記の表は私の個人的な予想ですので、ご参考程度にされてください。

「ものづくり補助金」も今後の予定は決まっていませんが、今年度内に2回(第7次締切、第8次締切)が予定されています。

※「ものづくり補助金」の第7次締切日程が公表されましたので追記しました。5/27(木)追記

同じく下記の表には私の個人的な予想ですので、ご参考程度にされてください。

「小規模事業者持続化補助金」の2種については、明確に日程が公表されています。

各補助金公募情報より筆者が作成

3、まとめ

 上記でご紹介した補助金は、予算規模が大きく、採択件数が多い代表的な補助金になります。

どの補助金が自社にとって使いやすいのか、専門家の方にご相談される事をおススメします。
相談先としては各地域の商工会議所、商工会、各県にありますよろず支援拠点などをご活用いただき、アドバイスを頂くと進めやすいと思います。

しかし、補助金申請には応募書類を作成する必要があります。

「事業再構築補助金」や「ものづくり補助金」はご自身で作成される方もいらっしゃいますが、多くは執筆代行されている業者に依頼されているようです。いくつかの業者の方にお話をお聞きになられ、条件をヒヤリングした上でどの業者を選ぶのか十分ご検討をお願いします。
法外な成功報酬や顧問契約を要求されるケースが多発しているとお聞きしていますので、ご注意ください。

「小規模事業者持続化補助金」の2種については補助金額が50万円や100万円と少ないので、ご自身で作成される方も多いです。
その際は商工会議所や商工会、よろず支援拠点などで書き方のアドバイスが頂けると思いますのでご相談ください。

申請書作成を代理で行って頂ける方もいらっしゃいますが、補助金額が低いために業者にあまりお金を払ってしまうと活用できる補助金額が減ってしまうので、充分ご検討されてください。

 

皆さまにとって有効活用できる補助金が見つかる一助になれば幸いです。

 

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