事業計画書の必要性と活用法

事業計画を策定されているでしょうか?

私が接する事業者様のほとんどが事業計画を策定されていません。

 

順調に進んでいて、現状に不満が無ければ特に問題ないと思います。

しかし、創業したけれど、思うように顧客が集まらず資金が尽きて廃業されたり、思い描いているステージになかなか進めず成長できなかったり、経営には様々な問題が起きているのも事実です。

 

その背景には「事業計画」のような測定可能な「ものさし」がなく比較できなかったこと、規模感を読み誤ったことなどがあげられます。

逆にトントンと創業して、あっという間に成長していくような方もいらっしゃいますが、そんな方は事業計画をしっかり策定して現在の状況を確認しながら必要な手立てを講じて、その結果が出ているということではないかと思います。

今回は長文になりますが、中小企業診断士がなぜ「事業計画」策定を進めるのか、わかりやすくご説明させていただきます。
本記事の内容は、事業計画の必要性のみをご説明させていただきます。
事業計画の作り方については別記事でご説明させていただきます。

Contents

1. 事業計画の必要性

事業計画を立てて、その内容を記載した事業計画書を作りますが、多くの方は「頭の中で組み立てているから大丈夫」とおっしゃいます。

事業計画をしっかりと組み立てなかったらどのようなことが起こるのでしょうか。

事業計画作成は、事業を成功に導くために不可欠なプロセスです。

 

具体的な例を挙げて説明します。

例えば、新規事業を立ち上げる場合、事業計画は将来のビジョンや目標を明確にし、事業戦略を策定するための基盤となります。

ビジネスアイデアや市場の需要を検証し、競合状況やリスクを分析することで、事業の方向性を明確化します。

 

また、既存の事業でも事業計画作成は重要で、事業環境や市場ニーズが変化する中で、事業計画を定期的に見直すことで、経営の方針や戦略を柔軟に調整することが可能となります。

例えば、新たな市場チャンスを見逃さず、競合他社に先駆けて市場へ進出することもできます。

 

さらに、事業計画作成は経営陣や従業員とのコミュニケーションを促進し、組織全体でビジョンや目標に向かって一丸となって取り組むことができます。

明確な計画があることで、従業員は目標達成に向けて自らの役割や責任を理解し、効果的に行動することができます。

 

したがって、事業計画作成は企業の成長や競争力強化に直結する重要なプロセスであり、その重要性を再確認することは成功に向けた第一歩です。

 

1) 事業計画作成における注意点とその回避法

事業計画の作成において、いくつかの注意点が存在します。

その中でも、目標のあいまいさと市場調査の不十分さはよく見られる問題です。

①目標のあいまいさ

事業計画における目標は、ビジネスの方向性を示す重要な要素です。

しかし、目標があいまいで具体性に欠ける場合、計画の実行性が低下し、目標達成が困難となります。

たとえば「売上増加を目指す」といったあいまいな目標ではなく、具体的に数値目標を設定することが重要です。あいまいな目標では、目標達成の方針が曖昧になります。

②市場調査が不十分

事業計画において、市場調査は重要な役割を果たします。

不十分な市場調査は誤った方向への不要な投資を誘発したり、戦略の誤りにつながります。

たとえば、新しい製品やサービスを市場に投入する際に、競合他社や顧客のニーズ、市場動向を十分に分析せずに行うと、市場への受け入れが低くかったり、競争力のない商品やサービスを提供してしまう可能性があります。

具体例を挙げると、「売上を増加させる」という目標があるとします。

この目標だけでは具体的な数値や期限が明確でないため、どのような行動を取るべきか理解しにくく、効果的な戦略の策定が難しくなります。

一方、市場調査の不十分さでは、新商品の開発を行う際に、顧客のニーズや競合他社の製品についての調査が不十分だった場合、市場に需要がない商品を開発してしまい、販売不振に陥る可能性があります。

2) 事業計画作成の成功に必要な心構え

SONY DSC

成功する事業計画を作成するためには、心構えが必要です。

それは、冷静な分析と情熱的なビジョンを持つことです。

計画を作成する際には客観的な視点で現状を把握し、同時に未来を明るく描くことが大切です。
また、柔軟性も必要であり、計画が変化することに対応できる体制を整えることが事業計画の成功につながります。

①積極的な姿勢を持つ

事業計画作成は、ビジョンや目標を明確化するプロセスですし、成功には前向きな姿勢が不可欠です。
問題や課題に対して消極的になるのではなく、積極的に取り組み、解決策を見出す姿勢が求められます。

②柔軟性を持つ

事業環境は常に変化し続けますので、事業計画も柔軟に対応できるように作成することが重要です。
計画が変更されることを恐れず、状況に応じて柔軟に対応することが成功の鍵です。

③目標に向かって着実に進む

事業計画には明確な目標が含あります。

成功するために、これらの目標に向かって着実に進むためにも必要なステップを明確にし、そのステップを着実に積み上げていくことが重要です。

④チームとの協力を大切にする

事業計画の作成は一人で行うものではありません。

チームメンバーや関係者との協力が不可欠ですので、成功に向けて意見を出し合い協力して計画を策定することが重要です。

⑤失敗を恐れない

成功には失敗も付き物です。

失敗から学び、成長することができるかどうかが成功の鍵ですので、失敗を恐れず挑戦し続けることが重要です。

 

2. 目標設定と戦略策定

ここでは目標を明確にし、具体的な戦略を策定します

1) 事業計画の目標設定のポイント

事業計画を作成する際には、明確な目標設定が欠かせません。
目標を具体的に設定することで、方針や戦略を明確にし、チーム全体の方向性を示すことができます。

目標設定の際には、SMARTの原則を踏まえることが重要です。

・SMARTの原則

例えば、新規事業を展開する場合を考えてみましょう。その場合、目標設定のポイントは次のようなものです。

S:具体性(Specific)

目標は具体的に設定しましょう。

例えば、「売上を増やす」という目標ではなく、「新規事業Aの売上を1年間で1000万円に増やす」というように、具体的な数値や期間を明確に設定します。

M:計画可能性(Measurable)

目標は達成度合いを計測可能な数値(金額、割合、指標など)を設定しましょう。

例えば、売上増加を目標とした場合、売上の数値や売上比率を用いて測定します。

A:達成可能性(Achievable)

目標は現実的なものを設定しましょう。

過度な目標設定はモチベーションを低下させる可能性があります。

また、達成可能な目標を設定するためには、過去の実績や市場動向などを考慮して慎重に計画します。

R:関連性(Relevant)

目標はビジネスの戦略や目的と関連させ、ビジネスの成長や利益に貢献できる目標にしましょう。

例えば、売上増加がビジネスの成長戦略と一致しているかどうかを検討します。

T:期限付き(Time-bound)

目標には期限を決めましょう。

期限を設定することで、目標達成までの時間枠が明確になり、計画の進捗管理やスケジューリングが容易になります。

例えば、1年間で売上を1000万円増やすという目標には期限が設定されています。

 

以上のポイントを考慮した目標設定によって、事業計画の成功に向けた具体的な目標が設定されます。

2) 具体的な戦略の策定方法とは?

戦略を策定する際には、上記のように具体的な手法やフレームワークを活用することが効果的です。
市場分析や競合分析を通じて、自社の強みや競争力を把握し、戦略を立てましょう。

加えてSWOT分析やPEST分析などのツールを活用することで、戦略策定のプロセスを効率化することができます。

・分析方法と活用

以下は、具体的な戦略の策定方法(フレームワーク)ごとに、分析できる内容、分析の目的、導き出される戦略を示した表です。

分析方法をまとめると色々ありますね。

戦略策定方法分析できる内容分析の目的導き出される戦略
SWOT分析社内の強み・弱み、外部環境のチャンス・リスク組織の内外の状況を把握し、戦略立案の基盤を築く強みを活かしたチャンスの追求、弱みやリスクの軽減
PEST分析政治、経済、社会、技術の要因外部環境の変化に対する影響を理解し、戦略の方向性を決定する外部環境の変化に柔軟に対応するための戦略策定
5W1H分析Who、What、When、Where、Why、How事業の全体像を把握し、具体的な施策を立案する各要素に基づく明確な行動計画の策定
BCGマトリックス成長率、市場シェアに基づく製品・事業部門の分類製品や事業部門のポートフォリオの戦略的位置づけを把握し、リソース配分を最適化する成長性の高い事業の強化や成熟した事業の安定化
ポーターの競争戦略産業全体の競争状況、企業の競争優位性産業構造や競合状況を把握し、競争戦略を確立するコストリーダーシップ、差別化、集中戦略などの採用
シナリオ分析複数の可能性のシナリオを検討し、リスクや機会を評価将来の不確実性に備え、様々な展開に対応する戦略を立案異なる将来像に対応する柔軟な戦略立案

このように、戦略策定方法ごとに分析できる内容や目的、導き出される戦略が異なります。

適切な戦略策定方法を選択し、組織の状況や目標に合った戦略を立案しましょう。

そして最も大事なのは、ご自身が使いにくいフレームワークではなく、使いやすいものをチョイスすることです。

使いにくいものを頑張って使っていても、納得感は得られませんし、時間も無駄になってしまいますので、少し使ってみて自分にしっくりくるものを使いましょう。

3. 事業計画作成後の行動計画

事業計画の重要性を理解し、具体的な行動に移すためのステップです。

計画作成及び、計画作成後は必要に応じて関係者を巻き込んで協力を依頼しましょう。

1)事業計画策定後の行動計画の立て方

事業計画を作成した後は、取り組むステップを明確にする必要があります。

具体的な行動計画を立てることで、計画を実行するためのロードマップを作成し、目標や戦略を具体的なアクションに落とし込むことが重要です。

次のステップとしての具体的な行動計画の立て方は、以下の手順に従っています。

①目標の明確化

達成したい目標を明確にします。目標は具体的で、測定可能で、達成可能で、リアルなタイムフレームで設定する必要があります。

②現状分析

現在の状況を把握し、目標達成に向けて必要なステップを特定します。達成したい目標に影響を与える要因や障害を明らかにします。

③戦略の策定

目標を達成するための具体的な戦略を立てます。

これには、必要なアクションやリソースの特定、責任者の割り当て、スケジュールの作成が含まれます。

④行動計画の作成

戦略を実現するための具体的な行動計画を策定します。これには、各アクションアイテムの詳細な説明、実行にかかる時間や費用の見積もり、責任者の指定が含まれます。

⑤モニタリングと評価

行動計画を実行し、進捗状況を定期的にモニタリングして評価します。目標に向かって進むプロセスで問題が発生した場合は、適切に修正します。

⑥継続的な改善

モニタリングと評価の結果を元に、行動計画を継続的に改善していきます。達成した目標や改善すべき点を反映させながら、次の段階に向けて計画を進化させます。

 

具体的な行動計画の立て方は、目標の設定から実行、評価、改善までの一連のステップを追うことで実現されます。これにより、読者は目標達成に向けて具体的なアクションを取るための手順を理解し、効果的な行動計画を立てることができます。

 

2) 関係者とのコミュニケーションの重要性

戦略策定および、策定後においては、関係者とのコミュニケーションが欠かせません。

関係者との意見交換や協力体制を築くことで、より良い戦略を策定することができますので、計画の理解や共感を得ることが重要です。

・関係者とのコミュニケーション

以下は、戦略策定における関係者とのコミュニケーションの重要性について、関係者の属性ごとにコミュニケーションの目的、重要度、注意点を示した表です。

関係者の属性コミュニケーションの目的重要度注意点
経営者・経営陣ビジョンや戦略の共有、方針の確認非常に高い経営者の意向やビジョンを理解し、戦略策定に反映する
社員・従業員目標や方針の理解、意見の収集非常に高い全体の意識統一と参加意識の醸成が重要
顧客・顧客層ニーズや要望の把握、サービスの改善非常に高い顧客の声を反映し、競争力を高める
パートナー企業提携内容や連携の強化高い相互の利益を最大化するために信頼関係を築く
政府機関・規制当局法令遵守や規制への対応高い環境変化や法令改正に対応するための情報収集が必要
投資家・株主ビジネスの成長戦略やリスクの共有高い利益の最大化とリスクの最小化に向けた情報提供が必要
地域社会・地域住民CSR活動や社会貢献の共有中程度地域の信頼を得るために積極的な地域貢献活動が求められる
競合他社市場動向や競合状況の把握中程度競争力強化や差別化戦略の検討に役立つが、情報共有に注意が必要
地域自治体・行政機関地域貢献や地域への影響の共有中程度地域社会との良好な関係構築が地域活動の成功に重要
メディア広報活動や情報発信中程度ブランドイメージの向上や情報の正確性を重視し、誤解を招かないようにする

このように、関係者ごとにコミュニケーションの目的や重要度が異なります。

それぞれの関係者の属性や立場を考慮し、適切なコミュニケーション戦略を構築することが重要です。

4. 実行と評価

事業計画を実施し、リソースの割り当てやスケジュールを考慮します

 

1) 事業計画の実行フェーズでのポイント

事業計画を実行する際には、慎重な計画と適切なリソース(ヒト、モノ、カネ)の割り当てをしましょう。
計画の実行には、実施スケジュールや予算などのスケジュール管理が不可欠です。

事業計画の実行フェーズでは、以下のポイントに注意してください。
初心者でも自力で実行できるよう、順にご説明します。

SONY DSC

①計画の具体化

事業計画書に基づいて具体的な行動計画を立てます。

これには、期限を設定したタスクリストやスケジュール表を作成することが含まれます。

②必要な資源(ヒト・モノ・カネ)の確保

実行に必要な資源を確保しましょう。
これには、ヒト・モノ・カネなどが含まれますが、どうしても自力で確保ができない場合は、外部からのサポートや協力も活用しましょう。

③役割と責任の明確化

チーム内での役割と責任を明確にします。
誰が何を担当するのか、チームメンバーが互いに理解し合うことが重要です。

④コミュニケーションの確保

チームメンバーや関係者との円滑なコミュニケーションを確保するために定期的なミーティングや報告書の作成などを行い、情報共有を行いましょう。

⑤進捗のモニタリング

実行が進むにつれて、進捗状況を定期的にモニタリングしましょう。
予定通り進んでいるかどうかを確認し、問題が発生した場合は適宜対処します。

⑥調整と修正

実行中に予期せぬ問題や変化が発生することがありますが、そのような場合は、柔軟に対応し、計画の調整や修正を行います。
必要に応じて、新たな戦略やアプローチを検討しましょう。

⑦成果の評価とフィードバック

実行の結果を評価し、成果を必ず振り返りましょう。
成功した点や改善すべき点を把握し、次回の実行に生かすためのフィードバックを行います。

以上のステップを順番に実行することで、事業計画の実行フェーズを効果的に進めることができます。

2) 継続的な改善を図るためのアプローチ

事業計画の実行後は、継続的な改善を図ることが重要です。
顧客のフィードバックを受け入れ、市場の変化に対応するための柔軟性を持つことや、競合他社の動向を把握し、自社の戦略を最適化することも重要になります。

継続的な改善を図るためには、以下のようなアプローチがあります。それぞれのアプローチには、具体的な事例を示します。

①PDCAサイクル

・Plan(計画)

問題や課題を分析し、改善策を立案します。例えば、顧客からのフィードバックを収集して、サービスの改善点を特定します。

・Do(実行)

計画した改善策を実際に実行します。例えば、新しいサービスや機能を導入して、顧客満足度を向上させます。

・Check(確認)

実行した改善策の効果を評価します。例えば、顧客満足度の調査や売上データの分析を通じて、改善の効果を確認します。

・Act(改善)

効果が不十分だった場合は、再度改善策を見直し、課題に対処します。

例えば、フィードバックを元にした調査結果を分析し、さらなる改善を行います。

②改善活動

・定期的なミーティング

社内の関係者が定期的に集まり、改善のアイデアや課題を共有し、意見を交換します。

例えば、毎月の改善プロジェクトチームミーティングを開催します。

・現場レベルでの改善活動

従業員が日常業務の中で、自らの仕事を改善するためのアイデアを積極的に提案し、実行します。

例えば、生産ラインでの作業手順の改善や効率化を行います。

③顧客フィードバック

・顧客満足度調査

定期的に顧客満足度調査を実施し、顧客の声を反映させた改善を行います。

例えば、定期的なアンケート調査やフィードバックフォームの設置を行います。

・顧客サポートの改善

顧客からの問い合わせや苦情に迅速かつ適切に対応し、サービスの改善点を特定します。

例えば、問題が発生した際には、原因究明と再発防止策の検討を行います。

 

これらのアプローチを通じて、継続的な改善を実現し、事業の持続的な成長を促進することが可能です。

 

3)よくある事業計画の作成上の誤解について

事業計画の作成においてよくある誤解や勘違いについて解説します。具体的な事例や誤解の根本原因を明らかにし、読者がこれらの落とし穴に陥らないよう注意喚起します。

誤解① 事業計画は一度作成すれば完了

事例

多くの起業家や企業経営者は、事業計画を一度作成したらそれで終わりだと考える傾向があります。

しかし、事業環境は常に変化しており、計画は柔軟性を持って修正される必要があります。

例えば、新たな競合が登場したり、市場ニーズが変化したりする場合、事業計画を見直す必要が生じます。

解説

事業計画はあくまで枠組みであり、実際の事業運営において常に変化し続けるものです。

一度作成した計画が長期間にわたって変更されずに放置されると、市場の変化や新たな機会を見逃す可能性があります。

そのため、定期的な事業計画の見直しや修正が必要です。

誤解②  事業計画は完璧でなければならない

事例

一部の起業家や経営者は、事業計画を作成する際に完璧さを求めすぎる傾向があります。

その結果、計画作成に時間がかかりすぎたり、不完全な状態で実行に移らないままになったりすることがあります。

例えば、市場調査が不十分なまま計画を作成したり、細部にこだわりすぎて全体の戦略を見失ったりすることがあります。

解説

事業計画は完璧である必要はありません。計画を作成する過程で、不完全な情報や未知の要素があることは当然です。

重要なのは、現時点での最善の情報を元に、柔軟かつ実用的な計画を作成することです。

また、計画は柔軟に修正されることが想定されており、実行段階での学びやフィードバックを反映させることも重要です。

5. まとめ

事業計画の必要性と重要性について再確認し、読者が事業計画の作成に向けて具体的な行動を起こすことを促します。

事業計画が成功するためのポイントや具体的なステップをまとめ、読者が成功への道を歩むための手助けとします。

これらのセクションを通じて、事業計画の必要性や作成方法に関する様々な疑問や課題に対処し、読者が自信を持って事業計画を作成し、事業の成功に向けて前進する手助けをします。

Follow me!

  • X

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です