中小企業の事業承継やM&Aを力強く後押しする国の看板支援施策「事業承継・M&A補助金」の第16次公募について、いよいよ本日【2026年10月2日(金)】より電子申請(jGrants)の受付が正式にスタートします。
経営者の高齢化に伴う後継者不在問題が深刻化する中、本補助金は「親族内承継や従業員承継を契機とした新たな設備投資や事業展開」、ならびに「第三者承継(M&A)に伴う仲介手数料・FA費用・デューデリジェンス費用」などを最大1,000万円規模で幅広く支援する制度です。
特に今回の第16次公募では、「最低賃金引上げに対応した補助率優遇(中小企業でも最大2/3へ引き上げ)」や、小規模事業者の譲渡を後押しする「小規模売り手支援の強化」など、事業者が活用しやすい大幅な改善が盛り込まれています。
本記事では、10月2日の申請受付開始を目前に控え、第16次公募の全体スケジュール、4つの申請枠の選び方、そして採択を引き寄せる事業計画書作成のポイントを、認定経営革新等支援機関およびM&Aアドバイザーの視点から速報で徹底解説します。
1. 2026年10月2日受付開始!第16次公募の全体スケジュールと事前準備
電子申請(jGrants)の受付期間と締切日程
第16次公募の電子申請受付は、2026年10月2日(金)より国の補助金申請システム「jGrants(Jグランツ)」にて開始されます。
公募締切は2026年11月下旬予定(※公募要領記載の日時厳守)となっており、受付開始から約1ヶ月半から2ヶ月程度の準備期間が確保されています。
申請前の必須要件:GビズIDプライムと認定支援機関確認書
本補助金の申請には、以下の2点が絶対に欠かせません。
まだ準備が完了していない事業者様は、本日ただちに着手してください。
- GビズIDプライムアカウントの取得:jGrantsでの申請には代表者本人の「GビズIDプライム」が必要です。未取得の場合、発行までに2〜3週間程度を要するため、今すぐ発行手続きを行ってください。
- 認定経営革新等支援機関の確認書:事業承継促進枠をはじめとする各枠の申請にあたっては、商工会議所、金融機関、税理士、中小企業診断士などの「認定支援機関」による事業計画の確認・確認書の発行が必須要件となります。
2. 自社に最適な枠はどれ?事業承継・M&A補助金「4つの申請枠」完全比較
事業承継・M&A補助金は、企業の状況や目的に応じて以下の4つの類型(枠)に分かれています。
自社の取り組みがどの枠に該当するかを正しく見極めることが第一歩です。
① 事業承継促進枠:後継者の新事業展開・設備投資を支援(最大1,000万円)
事業承継(親族内承継、役員・従業員承継、M&Aによる承継)を契機として、後継者が行う「新商品・新サービスの開発」「新分野への進出」「業務プロセスの省力化・デジタル化」などの経営革新投資を支援します。
- 補助上限額:原則600万〜800万円(大幅賃上げを実施する場合は最大1,000万円)
- 補助率:原則1/2(小規模事業者や最低賃金特例適用時は2/3)
- 主な対象経費:設備・機械装置費、システム構築費、店舗・工場改修費、広報費、外注費など
② 専門家活用枠:M&A仲介手数料・FA費用・デューデリジェンスを支援(最大600万円)
M&A(事業譲渡、株式譲渡など)を通じて経営資源を他社から譲り受ける「買い手」、または他社へ引き継ぐ「売り手」の双方が対象となり、M&A手続きに伴う専門家への委託費用を補助します。
- 補助上限額:最大600万円(※売り手・買い手それぞれ申請可能)
- 補助率:原則1/2(※最低賃金特例等で2/3)
- 主な対象経費:M&A仲介手数料、FA(ファイナンシャルアドバイザー)費用、デューデリジェンス(財務・税務・法務調査)費用、企業価値算定費用など
小規模売り手支援類型による負担軽減
小規模な個人事業主や零細企業が廃業を回避して第三者承継を目指す場合、仲介手数料等の着手金や基本合意報酬について手厚い補助を受けられる「小規模売り手支援類型」が用意されています。
登録M&A支援機関の利用が必須
専門家活用枠において仲介手数料やFA費用を補助対象経費とする場合、委託先が中小企業庁の定める「M&A支援機関登録制度」に登録された支援機関であることが必須条件です。
契約前に委託先が登録機関であるかを必ず確認してください。
③ PMI推進枠:M&A後の企業統合・シナジー創出を支援(最大300万円)
M&A成約後に最も重要となるのが、買収先企業との統合プロセス(PMI:Post Merger Integration)。経営方針の統合、業務オペレーションやITシステムの統一、人事評価制度の刷新など、M&Aによるシナジー効果を早期に発揮するための取り組みを支援します(補助上限:200万〜300万円、補助率:1/2〜2/3)。
④ 廃業・再チャレンジ枠:既存事業の清算・廃業費用を補助(他枠と併用可能)
事業承継やM&Aに伴い、不採算部門の廃業や事業整理を伴う場合、その廃業費用(解体費、原状回復費、在庫処分費、リース解約損料等)を最大150万円(補助率2/3)まで補助します。
本枠は、事業承継促進枠・専門家活用枠・PMI推進枠と併用して同時申請できる点が大きなメリットです。
第16次公募 4大申請枠の比較早見表
| 申請枠名 | 主な対象者・目的 | 補助上限額 | 基本補助率 |
|---|---|---|---|
| 事業承継促進枠 | 事業承継を機に新事業や設備投資に挑戦する後継者 | 最大1,000万円 | 1/2(特例2/3) |
| 専門家活用枠 | M&A成約を目指す買い手企業・売り手企業 | 最大600万円 | 1/2(特例2/3) |
| PMI推進枠 | M&A成約後の統合・シナジー創出を進める企業 | 最大300万円 | 1/2(特例2/3) |
| 廃業・再チャレンジ枠 | 承継・M&Aに伴い既存事業を廃業・清算する事業者 | 最大150万円 | 2/3 |
3. 第16次公募の最重要変更点:最低賃金引上げに伴う補助率優遇と加点措置
中小企業でも補助率が1/2から2/3へ引き上げられる条件
第16次公募では、足元の急激な最低賃金引上げの影響を受ける中小企業者への支援策として、「最低賃金引上げ対応枠(特例)」が設けられています。
事業場内最低賃金が地域別最低賃金の一定水準近傍にある企業が、賃上げ計画を策定して申請する場合、通常1/2の中小企業補助率が「2/3」へと拡充されます。
自己負担額を大幅に軽減できるため、要件該当の有無を必ず確認しましょう。
審査を有利に進める重点加点項目
採択率を高めるためには、以下の公募加点項目を着実に獲得することが極めて重要です。
- 経営革新計画の承認取得:都道府県知事から経営革新計画の承認を受けている(または申請中である)こと。
- 地域経済牽引事業計画や事業継続力強化計画(ジギョケイ)の認定:BCP対策や地域貢献性を示す計画の認定。
- 大幅な賃上げ計画の策定・表明:給与支給総額年率3.0%以上増加や事業場内最低賃金の引き上げ。
4. 採択を勝ち取る事業計画書作成の3大急所
① 事業承継・M&Aの「経営資源引継ぎのストーリー」を明確にする
審査員が最も重視するのは、「なぜ今、この事業承継・M&Aが必要なのか」という必然性です。先代が築いてきた強み・顧客基盤・技術をどのように引き継ぎ、後継者や買い手の強みと融合させて発展させていくのか、納得感のあるストーリーを論理的に記述してください。
② 承継後の「付加価値向上・生産性改善」を定量的に示す
本補助金では、事業計画期間内における「付加価値額の年率平均向上」が求められます。単なる願望ではなく、過去の財務実績や市場動向をベースに、設備導入やM&Aによって「どの製品・サービスで売上がいくら伸び、粗利益がどう改善するのか」を客観的データに基づいて試算することが必須です。
③ 資金計画と実施スケジュールの現実性・確実性を担保する
本補助金は「精算払い(後払い)」です。設備投資費用やM&A仲介手数料は、いったん全額を自己資金や金融機関からの融資で支払う必要があります。
金融機関からの調達見込み(借入確約書や相談状況)を明確にし、事業期間内に確実に支払いが完了する現実的なスケジュールを提示しなければなりません。
5. 今すぐ着手すべき直前アクションプラン
10月2日の電子申請受付開始に向けて、事業者が今すぐ取り組むべきアクションは以下の3つです。
- M&A専門家や設備メーカーからの見積書・契約書の取得:専門家活用枠を狙う場合は登録支援機関の契約書・見積書、促進枠を狙う場合は機械設備の見積書・仕様書を早期に取り付けます。
- 直近3期分の決算書・確定申告書の準備:財務内容の分析と事業計画の前提数値を作成するため、最新決算書類を整理します。
- 認定経営革新等支援機関への早期相談:計画書のブラッシュアップと確認書の発行手続きを円滑に進めるため、早めに専門家との面談機会を確保しましょう。
当事務所の補助金申請・伴走支援について
毛利中小企業診断士事務所では、認定経営革新等支援機関および福岡事業承継・M&Aセンターのアドバイザーとして、事業承継・M&A補助金の申請に向けた事業計画書のブラッシュアップや数値計画の妥当性検証など、採択可能性を高めるための伴走支援・助言を行っております。
【ご支援に関する重要事項】
※当事務所では、事業者の主体的な経営改善・経営革新を支援するスタンスをとっており、申請書の「作成代行」や「丸投げ対応」は一切お受けしておりません。
事業者様ご自身が事業計画を作成される前提での、アドバイス・添削・伴走指導となります。
※採択後の「交付申請」「実績報告書」「年次事業化状況報告」等の各種手続き支援につきましては、補助金交付に向けた別途有料のサポート対応となりますのであらかじめご了承ください。


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