数字は「変化」で見る|薬局の処方箋枚数を毎日記録して気づいたことと、継続して見る意味

経営相談の場で、私が最初に大切にしているのは、数字を見ることでも、解決策を示すことでもありません。

「いま、どんな状況にあるのか」を相談者と一緒に正しく知ることです。

そして、その状況を一度きりでなく、時間をかけて継続して見ていくことに、伴走する意味があると考えています。

この記事では、初回の面談で何を聞くのか、私自身が経営する薬局で数字をどう見てきたのかを、経験の範囲でお話しします。

目次

初回の面談で、まず聞くこと

初めてお会いする事業者さまには、まず会社やお店の全体像をうかがいます。

そのうえで、今回何を解決したいのか、いまどのような状況なのかを具体的にしていきます。

ときどき、本題とは関係なさそうな部分まで質問を広げることがあります。

雑談がしたいわけではありません。

最初に挙げられた悩みの奥にある真因、つまり本当の原因を探すための質問です。原因が、最初の悩みとは別のところにあることは珍しくありません。

質問を重ねた先に、答えがあった場面

ある事業者さまの店舗移転と、移転先での事業計画づくりをお手伝いしたときのことです。

どんなお店にしたいのか、ご本人も決めかねていて、どうしたらいいか分からない様子でした。

お話をうかがいながら、「こういうことですか」「こんなイメージですか」と確認の質問をいくつも重ねていきました。

すると、あるところで「あっ、それです。それがやりたかったんです」とおっしゃったのです。

方向性がはっきりした瞬間でした。

そこから先は、その方向に沿って計画を立て、あとは実行するだけです。

答えは最初から相談者の中にあり、私は質問を重ねて、それを言葉にするお手伝いをしたのだと思います。

数字は「現在地」と「変化」で見る

数字を見る目的は、現在の状況を把握することだと考えています。

今月はお客さまが少ない、利益が少ない、支払いが多かった。そうした感覚を、できるだけリアルタイムに数字で確かめられる状態にしておくことが大切です。

この考え方は、中小企業診断士になってから身についたものです。

そして現在地は、変化とあわせて見ることで意味を持ちます。

1か月前と比べてどうか、半年前と比べてどうか、この1年でどう動いてきたか。

変化が分かると傾向が見え、傾向が見えると、なぜそうなっているのかという原因をある程度特定できるようになります。

薬局で、処方箋の枚数を毎日記録して分かったこと

私が経営する薬局では、処方箋の枚数と売上を見ています。

月ごとの収支は現金ベースで記録し、前の月や前年と比べます。

処方箋の枚数は、処方箋の情報を入力する機械(レセコン)が1日分を集計した数字を出してくれるので、それを毎日記録して一覧表にまとめています。

店内に置いている処方箋以外の商品の売上は、毎月ダイレクトに数字へ反映されるため、金額の把握にも役立ちます。

売上があまり上がらない、と感じ続けていた時期がありました。

数字を並べて確かめると、前年比で処方箋の枚数が約15%減っていることが分かりました。

また、調剤報酬改定のあと、算定の要件を満たせなかった項目があり、その分の点数が減っていることも分かりました。

原因が分かっても、すぐに手が打てるわけではありません。

処方箋の枚数を増やすといっても、簡単には増えないからです。

処方箋を受け取った方が、私どもの薬局を思い浮かべて足を運んでくださる必要があります。

クリニックで処方箋を受け取った患者さんの多くは、そのクリニックの近くの薬局に持っていかれるでしょう。

それでも、私どもの薬局を気にかけてくださる方が、処方箋を持ってきてくださることもあるかもしれません。

すぐ近所にお勤めの方から、「ここに薬局があるとは知らなかった」と言われたこともあります。

日常的に通る道沿いにあっても、薬局として気づかれていなかったのです。

気づいてもらうために、Instagramなどでの発信やホームページの充実など、やり方はいろいろ考えられますが、どれもすぐに結果が出るものではありません。

売上が落ちているとして、1週間や2週間の手立てで状況が変わることはまずありません。

だからこそ、早く状態を知って、早く対策を打ち始めることが重要だと感じています。

継続して見ると、PDCAが回る

一度きりのアドバイスは、その時点の現在地、過去からの変化、これから必要になりそうなことを、ひとつの切り口で整理したものです。

継続して見ることで、はじめて変化が分かり、PDCAを回せるようになります。

たとえば、1年間の変化を確認し、施策をいくつか決める。

1か月後にその結果を見て、2か月後にも見る。本当にこの方向で合っているのか、疑問が出てきたら、そこで方向を修正する。

この繰り返しが、継続して見ることの意味だと思います。

私自身は、自分で数字を見る習慣があるため、この1か月でどう変わったか、半年、1年でどう動いたか、お金がどのくらい動いて、いまどういう状態なのかを、常に考えるきっかけになっています。

明日できる、数字を見る一歩

読者の方が明日ひとりでできる一歩としては、次のことをおすすめします。

売上、経費、利益はもちろん、売上であれば何がどのくらい売れているのかが分かる管理表や一覧表はありますか。

なければ、1日分を集計する簡単な一覧表を作ってみてください。

飲食店であれば、どの商品がいちばん売れているのか、どの商品と組み合わせて売れているのか。

時間帯や曜日、天気など、さまざまな要因が絡んでいるはずです。

その中から、本当に把握しておきたい数値をいくつか選んで、毎日記録するところから始めてみてはいかがでしょうか。

1か月たって見返すと、印象と数字は同じ方向を向いていても、細かさが違います。私にも、売上が大幅に減っていると思っていたらそれほどでもなかったことや、忙しいので先月並みだろうと思っていたら、実は思うように売上が上がっていなかったことがありました。

印象だけでは、このずれに気づけません。

私の場合は、管理表づくりからお手伝いすることもあります。経営相談や顧問契約の内容は、こちらのページに掲載しています。

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