ビジネスの現場やマーケティングにおいて、「競合や繁盛店の売上をロジカルに推測する(フェルミ推定やキャパシティ分析を行う)」ことは、自店の経営改善や出店計画において非常に重要なスキルです。
先日、実際に長崎県の人気スポット「佐世保バーガー」のあるお店を訪れる機会がありました。
待ち時間が長かったこともあり、私も好きな店だけど、これはどのくらいの売上になるものか?
そんな計算が頭の中で動き始めました。
通常ならば、席数のカウントくらいまでで売り上げの計算まではしませんが、時間的に余裕が(待ち時間が長かった)あったこともあり、計算していると面白くなってきました。
その際目の当たりにした「リアルな混雑状況」から、この店舗の1日の売上を逆算してみたいと思います。
現場のリアルなデータをどうビジネス視点に落とし込むのか、その思考プロセスを解説します。
現場で得られた「制約条件」のデータ
ビジネスの売上試算は、やみくもに行うのではなく、店舗の物理的な「ボトルネック(制約条件)」から組み立てます。
今回の現場調査で得られたスペックは以下の通りです。
● 駐車場の状況: 約30台分あり、常に入庫待ちが約20分発生
● オーダーの状況: レジ・厨房がフル稼働し、注文の列に約40分待ち
● 客席のキャパシティ: メインとなる店内の席数は60席(他に屋外・テラス席あり)
● 想定客単価: 約1,500円(バーガー単品+セット・ドリンク等、観光地価格を想定)
● 平均滞在(飲食)時間: 約45分(着席から退店まで)
ボトルネックとキャパシティからの売上逆算
1 席数(60席)と回転率からのアプローチ
飲食店における売上の基本公式は 「席数 × 1時間あたりの回転数 × 営業時間 × 客単価」 です。
1時間あたりの回転数
● 1人の平均滞在時間が45分の場合、1席あたり1時間に約1.33回転。
● 60席 × 1.33回転 =1時間あたり約80席(人)が食事をする計算になります。
ピークタイムとアイドルタイムの配分:
● ピークタイム(お昼前後の約4時間): フル稼働が続き、常に満席をキープ(80人/時 ×
4時間 = 約320人)
● 準ピーク・アイドルタイム(開店〜午前中、夕方までの約6時間): やや落ち着くもの
の、継続的に客足がある状態(約40人/時 × 6時間 = 約240人)
● 1日の総来客数(推計): 約560人
売上試算(来客数ベース)
● 560人 × 客単価1,500円 = 約 840,000円
2 設備バランス(駐車場と席数の相関)の検証
ここで興味深いのが、「駐車場(30台)」と「店内席(60席)」の絶妙なバランスです。
● 1台あたりの平均乗車人数を2.0〜2.5人と仮定すると、車で来店する1波あたりの人数は60
人〜75人となります。
● これは、「駐車場がほぼ満車(30台)のとき、店内の席数(60席)ともほぼぴったり合致す
る」という、非常に理にかなった設計(キャパシティ・プランニング)になっています。
● 常に駐車場待ちが20分、オーダーが40分待ちという状態は、この「設備が限界までフル稼働
している状態(ボトルネックが最適化されている状態)」が一日中途切れないことを意味して
います。
結論:本日の推定売上は?
店内の主力席「60席」が終日フルに近い状態で稼働していること、そしてテイクアウトやカウント外の屋外席の利用も加味すると、本店舗の1日の売上はズバリ。
約 80万円 〜 100万円 (上振れすれば100万円超え)と試算されます。
60席という決して巨大ではない店舗規模でありながら、ランチ・ディナーを挟んでこれだけの売上と
高い回転率を叩き出しているのは、観光地としての集客力はもちろん、オペレーションや動線の設計
が非常に優れている証拠と言えます。
中小企業診断士の視点:今回の事例から学べる経営のヒント
今回の佐世保バーガーミュージアムの事例から、一般の飲食店やサービス業が学べるポイントは大きく2つあります。
ボトルネックの正確な把握
● 「オーダーに40分」「駐車場待ち20分」という状況は、お客様にとってはストレスになり得ますが、経営側から見れば「需要が供給(キャパシティ)を完全に上回っている(=機会損失すれすれのフル稼働状態)」の黄金サインです。
ハードとソフトのキャパシティバランス
● 駐車場台数と客席数が緻密に連動しており、無駄な遊休スペースや過剰投資が発
生しにくい構造になっています。
自店の設備投資を考える際も、「どこが一番のボトルネックになるか」を計算することが重要です。
当事務所では、こうした現場のリアルな数値分析や、データに基づいたマーケティング・店舗運営の
改善サポートを行っております。
「自店の回転率を上げたい」「適正な客単価・キャパシティを見直したい」といった経営課題がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください!


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