今年6月、調剤報酬改定が行われました。
今回の改定は、私が経営する薬局にとって、これまでの経験則が通用しないほど大きな変化を伴うものでした。
改定内容を読み解いていくうちに、看過できない収益インパクトがあることが分かってきました。
今日は、実際の数字をもとに、何が起きているのか、そしてどう対応していくべきかをお話ししたいと思います。
同じように悩まれている薬局経営者の方の参考になれば幸いです。
何が変わったのか
これまで薬局の基本的な収益は、調剤基本料、地域支援体制加算、後発医薬品調剤体制加算という3つの点数を合算して成り立っていました。
今回の改定では、このうち地域支援体制加算と後発医薬品調剤体制加算が再編され、新たに地域支援医薬品供給体制加算という一本化された加算に生まれ変わりました。
調剤基本料1については、これまでの45点から47点へと2点の増加となっています。
ここだけを見ると、わずかながら前進しているように見えます。
しかし問題は地域支援医薬品供給体制加算にあります。
これまで地域支援体制加算1として32点、後発医薬品調剤体制加算2として28点、合わせて60点を算定できていたところが、新設された地域支援医薬品供給体制加算1では27点となりました。
実に33点のマイナスです。
基本料の2点増と合わせても、差し引き31点のマイナスという結果になります。
数字にすると、これほどの重みになる
31点という数字だけを見ると、それほど大きく感じないかもしれません。
しかし、これは処方箋1枚ごとに発生する減額です。
月間の処方箋枚数に当てはめて計算してみると、パート従業員お一人分の給与に近い金額が失われる計算になりました。
改定前と同じ仕事をしているにもかかわらず、これだけの減収が発生してしまうというのが、今回の改定の厳しさだと感じています。
打てる手はあるのか、地域支援医薬品供給体制加算という選択肢
最も現実的な対応策のひとつは、地域支援医薬品供給体制加算の上位区分を取得することです。
そのためには、過去1年間で在宅対応の実績を24件確保する必要があります。
正直なところ、24件という数字は簡単に届くものではありません。
しかし、在宅医療のニーズは今後さらに高まっていくことが予想されます。
日頃から地域の医療機関やケアマネジャーとの関係を築き、在宅対応が必要になった患者様を自薬局で引き受けられる体制を整えておくことが、遠回りに見えて最も確実な道だと考えています。
点数だけに頼らない、処方箋そのものを増やすという視点
加算の獲得と並行して、処方箋自体の枚数を増やすという視点も欠かせません。
近隣医療機関との関係強化、患者様にとって選ばれる薬局であり続けるための対応力向上など、地道な取り組みの積み重ねが、結果として処方箋の増加につながっていきます。
経費構造の見直し、まずは人員体制から
売上を伸ばす取り組みと同時に、経費の見直しにも着手する必要があります。
薬局で午前と午後の来局患者数を調べたところ、ほぼすべての曜日で午前が2、午後が1という比率になっていることが分かりました。
この実態を踏まえ、午前は手厚い体制で対応し、午後は人員を絞るという形で、時間帯ごとにメリハリのある体制へと切り替えることにしました。
感覚ではなく数字で実態を把握することで、無理のない経費削減につなげられると考えています。
もっとも影響が大きい仕入れの見直し
売上原価の6割以上を占めているのが医薬品の仕入れです。
これまで卸との関係を重視し、単独購入という形を続けてきましたが、このままでは原価の圧縮にはつながりません。
共同購入という選択肢を本格的に検討することで、当薬局の規模でも一定のコスト削減が見込めるのではないかと考えるようになってきました。
在庫管理のあり方も変える
もうひとつ見直しているのが在庫管理の方法です。
これまでは勘に頼った発注を続けており、欠品への不安から少しずつ多めに発注を重ねた結果、気づけば大量の在庫を抱えてしまうということが繰り返されていました。
現在検討しているのが、患者様の来局予定に基づいて発注リストが自動的に上がってくる需要予測を行なってくれる在庫管理ソフトの導入です。
長期処方の患者様についても、来局予定日が近づくと必要数を検知し、発注候補として提示してくれる仕組みです。
これまで注意していないと漏れてしまっていた発注が、リストとして確実に上がってくるようになる。
これは心理的な負担を減らすだけでなく、発注のし過ぎによる過剰在庫、ひいては仕入れコストの抑制にも直結する取り組みだと感じています。
おわりに
今回の改定は、これまでのやり方をそのまま続けるだけでは収益が目減りしていく、そんな厳しい現実を突きつけるものでした。
しかし裏を返せば、売上を伸ばす方法は加算取得だけでなく処方箋数の増加まで多岐にわたり、経費についても人員体制や仕入れ、在庫管理など見直せる余地がまだ多く残されているということでもあります。
必要のないコストは削ぎ落とし、身軽な経営体制を作りながら、地域に求められる薬局であり続ける。地道な取り組みですが、これが今、薬局経営者に求められている姿勢だと感じています。


コメント