小規模薬局の採用で、なぜ自社ホームページ・Indeed・ハローワークの3媒体を併用したのか

目次

実際に自分でやってみた求人導線の見直し

私は中小企業診断士として、小規模事業者の販路開拓や情報発信、採用導線の整備について支援する立場にあります。

一方で、自分自身でも調剤薬局を経営しているため、今回は支援先の話ではなく、自社の採用活動を実際に見直してみた事例として整理してみたいと思います。

今回対象にしたのは、福岡市南区三宅にあるのばら薬局の薬剤師採用です。

募集したのは、週2~3日勤務のパート薬剤師土曜日限定パート薬剤師の2種類です。

自社ホームページ上では、まず全体を案内する親ページを置き、そのうえで2つの個別求人ページに分ける構成にしました。

のばら薬局 親ページ 
のばら薬局 週2~3日勤務ページ 
のばら薬局 土曜限定ページ

課題は「募集していない」のではなく、「伝わり方が曖昧」

小規模事業者の採用では、「求人を出しても応募が来ない」という相談がよくあります。

ただ、実際には“求人を出していない”のではなく、求職者が自分向けの募集だと判断しにくいことが原因になっているケースが少なくありません。

今回も同じでした。
薬剤師募集という大きなくくりでは情報を出していたものの、
実際には

  • 週2~3日程度で働きたい人
  • 土曜日だけ働きたい人
  • ブランクから復帰したい人
  • Wワークで続けたい人

で、見たい情報が違います。

ニーズが異なるわけですね。
それにもかかわらず、情報がひとまとめだと、読む側は「結局、自分に合うのか」が分かりにくくなります。

採用で大事なのは、募集側が伝えたいことを並べることではなく、求職者が自分ごととして判断しやすい構造にすることだと、感じています。

最初に取り組んだこと、求人を「1本」ではなく「3ページ構成」に分割

今回、自社ホームページでは次の3ページ構成にしました。

この構成にした理由は単純です。
入口ページと詳細ページの役割を分けたかったからです。

親ページでは、のばら薬局がどんな薬局か、どんな考えで採用しているか、どのような働き方があるかを伝えます。

一方で個別ページでは、それぞれの勤務条件、仕事内容、向いている人、応募のしやすさを具体的に書きます。

率直に言うと、ここを分けるだけで「採用ページっぽさ」はかなり変わります。

1ページに全部詰め込むより、入口で全体像を見せ、詳細は条件別に読ませる方が、求職者が自分の必要な記事だけを読めるようになるのです。

求人媒体は「自社ホームページ・Indeed・ハローワーク」の3種の理由

今回、求人媒体として使ったのは

  • 自社ホームページ
  • Indeed
  • ハローワーク

の3つです。

これは「とにかく数を打つ」という発想ではありません。
役割の違う媒体を組み合わせたという考え方です。

1. 自社ホームページを使う理由

自社ホームページは、最も自由度が高い媒体です。

給与、勤務条件、働き方だけでなく、薬局の雰囲気や考え方、患者さんへの向き合い方、AI薬歴入力への対応など、求人票だけでは伝えにくい「のばら薬局らしさ」を載せられるのが強みです。

実際、のばら薬局の親ページでは、地域密着の独立店舗であること、50代以上の経験豊富なスタッフが中心であること、患者さん一人ひとりに寄り添った服薬支援を行っていることを伝えています。

個別ページでは、週2~3日勤務、土曜限定勤務それぞれの条件を分けて記載しました。

ただし、弱点もあります。

ホームページは自分から見に来てもらわないと読まれない媒体です。

つまり、ホームページだけでは、まだ接点のない求職者には届きにくい。
だからこそ、自社ホームページは「集客媒体」というより、信頼形成と比較検討の受け皿として位置づけるのが現実的だと思います。

2. Indeedを使う理由

Indeedは、条件比較に強い媒体です。

すでに転職や勤務先変更を考えている人が、「勤務地」「時給」「勤務日数」「雇用形態」で比較しながら見る場なので、募集条件が整理されていれば、非常に相性が良いです。

今回の週2~3日勤務求人では、仕事内容、勤務時間、給与、勤務地、試用期間、福利厚生までかなり具体的に出しました。

例えば、時給1,900円~2,300円、処方箋30~50枚程度、薬剤師2名+事務1名体制、EMシステムズ『スマレキ』を使用しAI薬歴入力にも対応、無料駐車場ありなど、求職者が応募前に知りたい情報をできるだけ明示しました。

Indeed自身も、募集要項には業務内容、就業場所、勤務時間、給与、保険、契約期間などの基本項目をきちんと載せることが重要だと案内しています。

一方で、Indeedにも弱点はあります。

情報は条件比較に向いている分、職場の空気感や細かな考え方は伝わりにくい。

だから、Indeed単体で完結させるのではなく、詳しく知りたい人を自社ホームページへ誘導する設計が必要だと感じました。

3. ハローワークを使う理由

ハローワークは、公的な求人チャネルとしての信頼感があります。
薬局でもハローワークからの求職者は今も働かれています。

とくに地域密着で、フルリモートではなく、実際にその地域で働く人を採用したい場合には、依然として有効です。

また、民間求人媒体を常用していない求職者や、比較的慎重に転職先を探している方にも届きやすいのが特徴です。

派手さはありませんが、地域で堅実に探している人との接点をつくる意味で、外せない媒体だと思います。

逆に言えば、ハローワークだけに頼ると、求人の見せ方はどうしても制約を受けやすくなります。

そのため、今回はホームページで詳しく伝え、Indeedで比較されやすい形にし、ハローワークで地域の安定的な接点を持つという3媒体の役割分担にしました。

工夫したのは、「媒体ごとに若干言い方を変える」こと

ここは、支援先にもよくお伝えすることですが、
同じ求人を出すとしても、媒体ごとに“書き方”は変えた方がいいです。

今回も、内容の核は同じですが、表現は少しずつ変えました。

ホームページでは、
「どんな薬局か」「どんな考えで働いているか」「どんな人に合うか」を丁寧に書きました。

Indeedでは、
「勤務条件」「仕事内容」「給与」「応募要件」を分かりやすく整理しました。

ハローワークでは、
制度上必要な情報や基本条件をしっかり押さえることを優先しました。

これは、言い換えると、
媒体ごとに読み手の“モード”が違うからです。

  • ホームページを見る人は、比較検討の最終段階に近い
  • Indeedを見る人は、条件比較モードに入っている
  • ハローワークを見る人は、地域内で安定的に探している

この違いを意識せずに、全部同じ原稿を流すと、どこでも少しずつ伝わりにくくなる。
今回やってみて、その差は思った以上に大きいと感じました。

今回の改善したひとつが「給与を明記したこと」

以前は、給与をホームページで積極的に出すことに少し慎重な気持ちもありました。

ただ、今回見直す中で、やはり求職者にとって給与は初期判断の重要情報だと再認識しました。

Googleの求人向け構造化データでも、給与は明示でき、時給などのレンジ表記にも対応しています。

Indeedも、賃金は曖昧にせず具体的に示すことが重要だと説明しています。

もちろん、給与を出せば問い合わせが増える可能性はあります。

ただ、その一方で、給与が見えないことで初期段階で候補から外されることもあります。

これは結果論ではなく、ミスマッチを減らすための情報開示として考えたほうがよいと思っています。

ただし、課題はあり

ここは良い話だけでは終われません。
実際にやってみて、課題もはっきりあります。

一つは、運用負荷が増えることです。

媒体が増えると、修正箇所が増えます。
勤務時間を少し直しただけでも、ホームページ、Indeed、ハローワーク、Googleビジネスプロフィール、今後はSNSまで整合を取る必要があります。

もう一つは、情報の一貫性を保つ難しさです。

たとえば「土曜勤務は月1~3日なのか、月2~4日なのか」のような微妙な表記差でも、求職者から見ると気になります。
媒体ごとに多少表現を変えてもよいのですが、条件そのものはずれないように管理する必要があります。

さらに、どれだけ媒体を増やしても、最終的には
「この薬局で働くイメージが持てるか」
「ここなら無理なく続けられそうか」
が決め手になります。

つまり、掲載先を増やすだけでは足りず、安心感をどう補うかが次の課題です。

次の一手として各種SNSのX、Instagram、Threads

今回、求人導線の土台としては

  • 自社ホームページ
  • Indeed
  • ハローワーク
  • Googleビジネスプロフィール

まで整えました。

その次に検討しているのが、X、Instagram、Threadsです。
ただ、これらはIndeedやハローワークの代わりではありません。

役割は別です。

薬学生・薬剤師向けの採用広報では、Instagramに求められているのは「映え」ではなく、仕事の一日の流れ、職場の雰囲気、福利厚生、社員の体験談、働き方の紹介だとされています。

また、InstagramやXは2024年時点で全体の半数程度が利用し、50代でも4割以上に広がっています。

つまり、SNSは求人票の代わりではなく、求人票では伝わりにくい空気感や安心感を補う媒体として使うのが自然です。

今後は、ホームページを詳細情報の受け皿にしつつ、SNSでは「雰囲気が伝わる短い発信」を積み重ねる形が現実的だと考えています。

まとめ:小規模事業者の採用は、「媒体数」より「役割分担」で決まる

今回、自分でやってみて改めて感じたのは、小規模事業者の採用では、
どの媒体を使うか以上に、媒体ごとの役割をどう分けるかが重要だということです。

  • 自社ホームページは、考え方と雰囲気を伝える受け皿
  • Indeedは、条件比較の入口
  • ハローワークは、地域の安定的接点
  • Googleビジネスプロフィールは、地域での存在確認
  • SNSは、安心感と空気感の補完

この役割分担が見えてくると、採用活動は少し整理しやすくなります。

もちろん、今回の取り組みが完成形だとは思っていません。

むしろ、ここから先は

  • どの媒体からの反応があったか
  • どの表現に問い合わせが集まるか
  • どの情報が応募の後押しになるか

を見ながら、少しずつ改善していく段階です。

中小企業診断士として支援する立場でも、そして自分で事業を運営する立場でも、採用は「出したら終わり」ではなく、仮説を立てて、出して、見直して、また整えることだと改めて感じています。

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