事業承継を控えている状況で、進展がないと「不安」が増すことはよくあります。
そして、承継者より二代目の気持ちの方が揺れ動くことが多いのです。
しかし、先代は何年も前に少し話をしただけで、二代目候補は決まったものとして、あとは二代目に任せた!
と、放置されているケースもよく耳にします。
とてもセンシティブな案件なので、本人たちも、まして周りの人から話題にすることはほとんどありません。
2代目として、事業承継を控えているのに、まだ事業承継が進んでいない状況だとしたら「事業承継」という言葉の前に、「この先どうなるのだろうか?」という「不安」を感じられる事が多いと思います。
そういう私も二代目として、このような状況の中にいました。
救われているのは、私自身が中小企業診断士として事業承継やM&Aに多少なりとも携わっていたので、進め方を知っていたことです。
もしあなたが事業承継を控えていて、どう進めたらよいのかわからないのであれば、ご相談ください。
「事業承継」に取組ができていない会社のほとんどは、
「どうしていいかわからない」
「なにから手を付けたらよいのかわからない」
「先代が何を考えているのかわからない」
「意思疎通ができていない」
結果、取り組みが進まないという事になっているケースがほとんどです。
しかし、そのまま放っておくと時間はどんどん過ぎてしまい、準備ができないまま無理やり代表者が変わり、経営に様々な影響を及ぼすということが発生しかねません。
改めてお聞きします。
あなたは「先代」ですか?
「2代目」ですか?
私自身が「2代目として事業承継」を行っている経験者ですので、現在の不安なお気持ちがよくわかります。
「不安」はどんどん増していくと思いますが、現在の経営者(先代)はどのようにお考えなのでしょうか?
何度もお話しをされたケースもあれば、全く「事業承継」の話題に触れていないケースもあります。
「お話しをされた」ケースならば、事業承継の準備を進めましょう。
しかし、先代は「まだ早い」「任せられる人がいない」など、一向に進める話題に乗って頂けないことも多いです。
「今まで事業承継の話題にすら触れていない」ケースは、一度「先代」のご意思を確認する必要があるかと思います。
お話ししてみてください。
その結果次第では、そもそも現在の会社をどのようにしていくのか根本から考える必要が出てくるかもしれません。
現代表者が高齢の場合の選択肢として考えられるものは
①事業承継(親族内承継)・・・親族のうちどなたかに事業承継を行う。
②事業承継(親族外承継)・・・現代表者の親族以外の方、役員・従業員・取引先から招へい・外部から招へいなど。
③M&Aにて売却…現在の会社を引き継いでくれる企業への売却。
④廃業…事業は継続させず、廃業する。事業はやめて、お客さまだけ同業他社へ引き取ってもらう。
⑤なにも行動せず継続…事業が立ち行かなくなり従業員・取引先・お客さまへ迷惑をかけてしまう可能性あり。
簡単に言えばこの中から選択する(されてしまう)という事です。
一方で、「事業承継」を進めるという方向性になったとしましょう。
今まで、「事業承継」を考えられつつも、結果的に着手されていらっしゃらないので、これから準備を進めていく必要があります。
よくお聞きする話として、現社長から数年前に「事業承継を打診されたまま放置」されていることがあります。
現社長は「一度意思確認をした」と思われているでしょうが、承継者は様々な心変わりを繰り返していることが多いです。
「本当に引き継がせてもらえるのだろうか」「先代に認められていないのだろうか」「赤字の状態では引き継ぎたくない」「友人から新たな事業に参加しないかと誘われている」「別の仕事をしてみたくなった」「安定した就職を選びたい」などなど。。
現社長は引き継ぎをしようと意思確認したので、承継者がずっと同じ気持ちだと思っているのかもしれませんが、承継者の心はしっかり掴まえておかないと離れてしまいます。
では、どうするか。
現代表者と承継者が一緒になって「事業承継計画を立てる」ことが重要です。
承継者の心が揺れる原因は「見通しが立たない」からです。
「来月には事業承継する」と決まっていれば、覚悟を決めることができますが、「半年後かな、3年後かな、もっと先かも」と承継者が思っているとしたら、もっとやりたい仕事があればそちらに鞍替えしたいと考えるのは無理もありません。
「先が見えない不安」は「期日を区切って事業承継計画」を立てることで解消できます。
「事業承継」の項目
「事業承継」と聞いて何を引き継ぐのでしょうか。
様々な考え方があると思いますが、私は「お客さまを引き継ぐ」と考えています。
そしてお客さまを引き継ぐには、提供している商品やサービスだけでなく提供する仕組みやお客さま対応そのものを継続していくこと、これが「事業承継」の目的です。
ここから、2代目のあなたが「事業承継」を進める前提とします。
事業承継を行う会社の経営についてどの程度把握し、対応ができるでしょうか?
ざっと列記します。
・経営方針(経営理念、行動指針、経営戦略など)
・管理会計(売上経費の管理、試算表、決算書など)
・各種届出(許認可等の種類、申請方法、書類作成や窓口業務など)
・既存事業の把握(技術、管理指標、資格など)
・社員管理(業務分掌、勤怠管理など)
全体像を把握しておくことは代表者になる第一関門といっていいでしょう。
完璧でなくても構いませんが、ある程度の把握(60%〜80%)は必要です。
もし、十分ではないとお考えであれば、不足している部分はこれから集中的に知識に変え把握できるようにしなければなりません。
必要項目をチェックリストにして、期日を区切って準備していくことが必要です。
事業承継に向けての準備
事業承継を行うと一気にいろんなことがやってきます。
それはそうですね。
しかし、
現代表者とあなたとの違いは何でしょうか?
現代表の「やり方」をそのままやろうとしていませんか?
それは無理な話です。
人格も違うし、経験してきたことも、性格も違う、同じことができるはずがありません。
では、どうしたらよいか。
事業承継はどのように進めて行くのか計画をたてて、準備していくことが必要です。
現代表者とのコミュニケーション
まずは現代表者と話し合い、事業承継の計画を一緒に立てることが重要です。
承継者が心を揺らさないためには、具体的な期日を設定することが効果的です。
事業承継計画の作成
項目の明確化
お客様を引き継ぐことを目標とし、提供する商品やサービス、仕組み、対応方法を継続することが重要です。
経営の把握
経営方針、管理会計、各種届出、既存事業の把握、社員管理などを理解する必要があります。
準備の具体化
不足している知識やスキルをチェックリストにして、期日を区切って準備することが必要です。
現代表者と異なる新しいアプローチを模索することも重要です。
選択肢の検討
事業承継の選択肢として、親族内承継、親族外承継、M&Aによる売却、廃業などがあります。
これらの選択肢を慎重に検討し、最適な方法を選ぶことが求められます。
継続的な評価と調整
事業承継計画を立てた後も、定期的に進捗を評価し、必要に応じて調整することが重要です。
これにより、計画が効果的に進むことが保証されます。
このように、事業承継は単なる引き継ぎではなく、計画的で包括的なプロセスです。二代目が安心して事業を引き継げるためには、現代表者との連携と継続的な準備が不可欠です。